こんにちは。油絵科の関口です。
先日お知らせした通り、今回から油絵科のブログは日曜日に隔週の更新になります。他の先生のブログを期待していた人もいると思いますが、もう1回だけお付き合い下さい。
さて、タイトルにある片岡球子という画家をご存知でしょうか?実はこの方、日本画家で103歳という長い人生を全うされた巨匠の一人です。
「面構 足利義満」1966年
「面構 葛飾北斎」1971年
先日竹橋にある国立近代美術館に見に行きましたが、油絵科の学生にも是非見てもらいたいと思い、紹介させてもらいます。
「枇杷」1930年
初期の作品は、所謂日本画らしい絵も描いています。しかし、途中からは全く以て日本画らしくありません。体質的には完全に油絵向きの人なのでしょうね。
「山(富士山)」1967年
ところで、日本画の特徴として、油絵をやっている人には頭に入れておいてもらいたい事が3つあります。
①基本的に絵を床に寝かせたまま描く。(立てると絵の具が垂れてしまう)
②基本的に岩絵具は混ぜられない。(粒子の大きさ、重さが違うので、混ぜても分離してしまう)
③写生→小下図→大下図→本画というプロセスを踏み、基本的に本画の時には対象を見ていない。
上に書いたのは、あくまで原則として…という事です。片岡球子という画家は、完全にこの辺のルールを無視している作品がありました。真近でよく見ると分かりますが、何とキャンバスに描かれた作品もありました。しかもアクリル絵具も併用しています。日本画なのに…キャンバス?…アクリル? 正直に言うと、僕もビックリしました。
あと、80代に入ってからの人物画も必見です。モデルをとにかくよく観察し、今迄築き上げてきた自分のスタイルをも無視して、その時感じた生の感覚と感性で生きいきと描かれています。80歳を越えてこのパワー、本当に凄いと思います。
「ポーズ3」1985年
素材も日本画の岩絵の具、パステル、木炭、作品によってはクレヨンらしきものも使っているものも見受けられます。
ものを見るという事は一体どういう事なのか?絵を作るという事はどんな事なのか?そんな事を考えさせる、良い展覧会です。この機会に是非本物を見てきて下さい。