日別アーカイブ: 2013年7月8日

愛すべきアーティストの卵たちへ

油絵科の関口です。

いよいよ一学期も終わりに近づいてきましたね。皆さんは充実した一学期を過ごせましたか?入試はまだずっと先にある(と思いたい)ので、この時期にモチベーションを高く保つのはなかなか難しいですよね。

さて、油絵科には毎年バラエティに富んだ人達が集まってきますが、他の科とは明らかに違う特徴があるようです。今日はそんな油絵科の人達を今日は紹介し、何故それを許容しているのか?を書こうと思います。

 

とっても油絵科な人達
※ 決して推奨している訳ではありませんよ。でも本人の性質や周りの人を考慮した上でギリギリまで許容しています。

・アトリエにナワバリを持っている。

・新美には来ているのに、アトリエにはほとんどいない。

・制作は基本が地べたリアン。

・好きな課題しかやらない。

・石膏像の名前をほとんど知らない。

・汚いツナギ姿のまま平気で外に買い物に行く。

・アトリエをまるで自分の部屋にいるかの様にくつろぐ。

・ごくたまにしか来ない。けど良い絵を描く。

・テンションの高い時と低い時の差がムチャクチャ激しい。

・とても貧乏。

・うまく描けた、と思う作品しか講評に出さない。

・年齢不詳。正体不明。

・鼻毛の伸びが異様に早い。(木炭が…ね。鼻をかむと真っ黒だし)

・存在自体が反則。

・木炭やら鉛筆の粉やらで、身体中とにかく真っ黒。

・他の人には見えないものが…見える。

・ツナギの腿の上にある絵の具の層が、布地よりブ厚い。

・バイト先で普通の人(一般人)と折り合いがつかない。

・見かけは怖いけど、実はすごく良い人。

油絵科の学生の中には、このブログを読んで「何だ、当たり前じゃん」と思ったり、或いは「ギクッ」とした人も多いのではないでしょうか(笑)? まだまだ、思わず笑ってしまう様な、面白すぎるエピソードは沢山ありますが、個人が特定できてしまうものが多いので、残念ながらこれ以上は書けません。

 

さて、ここまで読んで「けしからん」と思った人も多い事でしょう。一般常識から考えたら、少々(余りにも?)逸脱しているのは十分に承知しています。しかし、クリエイティブな道に進む人達を一般常識だけで育てられるでしょうか? ちょっと変わっていて、扱いが難しい。そんな彼ら(彼女たち)だからこそ、出せる魅力も沢山あるのです。一般社会では批判されたり、煙たがられたりする様な人達にも十分に魅力や力を発揮できる道がこの世界にある。と我々は考えています。実際上記の様な人達の中から芸大や美大に合格した人達も多数いますし、アーティストとして活躍している人も大勢いるのです。

油絵科講師陣は新美に通ってくる学生を、将来はスケールの大きい、有名アーティストになる可能性を持った「本物のアーティストの卵」と捉えています。
そんな彼らをイキイキ、ノビノビと育てるにはどうしたら良いのか? どこからがワガママとして注意し、どこまでが自由として許されるのか? を常に考えながら、彼らと真剣に向き合い、時には我々も一緒に思い悩み、学んでいきます。

 

ちなみにこちらは新美出身で、現在活躍中のアーティスト達です。

麻生
麻生知子さんの作品。 https://sites.google.com/site/wataridorikeikaku/asou-no-peji

Exif_JPEG_PICTURE武内明子さんの作品。 http://aceimnorsu.jimdo.com

阿部阿部ふみさんの作品。 http://hirota-b.co.jp/artists/2010/07/post-15.html

佐藤
佐藤岐夜美さんの作品。 http://satoh-kiyomi.com

 

あと、くれぐれも断っておきますが、他の科にもいる様な、ちゃんとした人や真面目な人も大勢いますよ。彼らはしっかりと新美の設備や独自のカリキュラムを活用し、ちゃんと絵の勉強をしてスクスクと育っています。放課後だって、いつものメンバーが画集を見にきています。こういう人達もいるのが、新美の油絵科の層の厚さだと思います。

一歩間違えたらカオスで無法地帯。でも色んな人がいて、刺激を受け合い切磋琢磨できる場所。そんな中から将来本物のアーティストになる人が出てくるのだ、と心から信じています。